Introduction of Myself

I'm just a small tourist.
地元の人にはなれるわけない。でも地元の人には見えないものもあるんだと。

2010/09/24

山口県祝島へ行く

瀬戸内の離島は魅力で溢れる。
その1つ1つが異なる魅力を持ち、観光客を楽しませるが、離島故に本土からの交通アクセスは悪いと言わざるを得ない。
これが逆に離島を観光客で溢れることなく、静かな環境を守って来たとも言えるだろう。

今回、私は山口県の祝島に降り立った。
このとき、瀬戸内海では香川や岡山の離島を中心に瀬戸内芸術祭が開催されていたが、そこではなく敢えて小さな離島を選んだのは、特殊なイベントで仕掛けられた島ではなく、島の日常を見たいと思ったからだ。

祝島は、山口県柳井市柳井港から船で1時間30分程度のところにある。1日に2便しかないため、東京から行くとなると朝一の飛行機で山口に向かっても、祝島に着くのは夕方である。従って、1泊することになる。
祝島には3軒ほど宿がある。もちろんじゃらんなどの大手のサイトで検索しても見つかることはない。
私は事前に偶然インターネット上で知った「くにひろ」に宿泊する。

祝い島の港に着くと、ご主人が港まで迎えに来てくれた。
宿までの間、見慣れない景色が目に映る。
「昔は全ての家がこのような練り壁を持っていたが、最近はお金がかかることでコンクリートの壁になってしまったところも増えてきた」
とご主人が説明する。
この独特な景観こそが今回祝島を訪れた最大の理由である。

ここ祝島は、瀬戸内海でありながらも外海にも面する位置にあり、強い風が吹き付ける。その波風に耐えるために祝島の家々では昔から石を漆喰で固めた練り壁で家を囲い、守ってきたのだ。

港の周辺に集落は分布し、幅2mもない狭い路地がそのなかを迷路や網の目のように張っている。
夕方になると、どこからか人が集まりおしゃべりを楽しむ。道ばたに座り込み、世間話を楽しむ。昼間は暑さから逃れていた猫たちも一斉に町や港に現れる。

この店には飲食店がない。小さな商店も数軒しかなく18時には閉店する。宿は素泊まりであった。
つまり、夕食の調達には非常に苦労した。しかたなく、商店でパンとお菓子を買い、それを夕食代わりにした。
こんな苦労も私にとっては新鮮なものである。いつでも何でも買えるコンビニに慣れていると、こんな体験も楽しい。

翌朝は自転車を借りて島を1周する。
海に面した集落の裏は全て山になっており、麓の僅かなスペースでは畑を耕し、豚を飼育し、山はミカン畑や段々畑を開拓し、果実や稲作を営むのがこの島の特徴のようだ。

途中、地元の警察の方とお話をする。
「山の裏にある段々畑は祝島に来たら必ず見なければダメだよ」

そう教えられた私は、船の時間を気にしながらも急いで段々畑に向かう。集落から一番離れた山にある段々畑に至るまでは急な坂の連続。常に見える瀬戸内海の雄大な景色と、眼下に広がるミカン畑を楽しみながら歩く。途中、ミカン畑で仕事をしている方とお話をしながら到着する。
集落に住む親子2代で築き上げたという3段の段々畑。多くの石を運んだその努力には感服であった。


集落に戻り、お世話になった宿にお礼を言い、昼の便にて柳井へと向かう。
わずか1日の滞在であった人口500人程度の小さな島。だが、ここにはここにしかない魅力があった。

夕方の祝島

祝島の練り壁

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