Introduction of Myself

I'm just a small tourist.
地元の人にはなれるわけない。でも地元の人には見えないものもあるんだと。
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2010/11/15

うちめぐり in 足助

学生時代からご縁を頂いている愛知県足助地区。
11月13日・14日は観光の社会実験が行われ、訪れた。

足助(あすけ)。中部地方では随一とも謂われる紅葉の名所、香嵐渓に隣接する歴史的町並みを持つ町である。
香嵐渓の紅葉時期の11月だけで100万人の観光客が訪れるとも言われるこの地域だが、そこから歩いてわずか5分のところにある足助の町並みは残念ながらあまり知られていない。

今回の社会実験は東京大学と豊田市が取り組んだ。主に香嵐渓への観光客に足助の町並みを知ってもらうこと、足助の町なかでは普段見ることのできない歴史的なお宅の中庭を一般に公開し、足助の文化を知ってもらう主旨で行われた、「うちめぐり」である。

そもそも、足助で商業を営む人にとって香嵐渓の紅葉シーズンは年に一度の書入れ時。この1か月の間に1年分の収入を稼ぐとも言われている。しかし、足助の町並みへの観光客の増加を期待できないため、商店は本来の商店を閉めて香嵐渓に出店するようなこともあったという。

足助の町にも資源はある。魅力がある。

今回の社会実験は、商店街の店主や一般市民が中心となって、足助の町並みに訪れた観光客をもてなし、案内するものとなった。
2年前の社会実験では、「町なかに魅力のある施設がない」と観光客が十分に楽しめる環境を作ることのできなかった足助。今回の取り組みは、魅力的な施設を作らなくとも、今ある家々に十分な資源があり、それらは観光客を楽しませるのに十分な魅力を持ち合わせている、ということを示したのではなかろうか。
この資源を発掘できた、今回の取り組みはとても価値のあることだろう。そして、こうした家々の資源を、それぞれの持ち主が案内するというのもまた、観光客にとっては嬉しいことではないか。

また、このような家の中を一般に公開する取り組みは、観光客のみならず地域の人も楽しめるものなのだと気づく。地元の人でも他人の家の中は見たことがないので、地元の人もそれぞれの家を廻ってみようと「うちめぐり」を楽しんだようである。
この社会実験は、多くの地元の方自身が主体となって動き、足助の町並みを観光客に紹介するその一体感を生み出したことも大きな成果であろう。この力がきっと今後の足助の活性化に向けた大きな動力となるだろう。

社会実験を実験で終わらせないために、足助の観光について私見を述べたい。

・観光による収益化に向けて
今回、各家への入場は無料、ガイドや案内も無料であった。
料金に見合う対価があれば観光客は支払ってでも見たいものであり、今回のそれぞれの家で見せてもらったものに私はその価値を感じた。ただ、観光客に「無料で当然」と思わせてしまうと料金を設定しても集客は難しいだろう。今回は最初の”実験”だが、今後同様の取り組みを続けていくとすれば、観光客には「お金を払ってでも価値のあるモノ」と思われるようになる必要があるだろう。
ただ、値段設定については十分な検討が必要であろう。

・持続的な観光に向けて
おそらく今回のような取り組みは恒常的に行うのは地元の負担も大きく、現実的ではない。
年に1度、2度の取り組みとなるだろう。すでに数多くあるまちなかでのイベントと対して、今回のように町の内部を見せる取り組みを足助の観光においてどう位置付けるか。
とある店主の話では、今回のような取り組みは紅葉の時期に行うのがよく3月のひな祭りなど、まちなかでのイベントに合わせて行うことは望まないという。これは、まちなかの至る所で出店が展開する(俗っぽい)空間へと変わる時期の観光客ではなく、町並みを理解できるような観光客のみが訪れる紅葉の時期のほうが「うちめぐり」の価値を伝えられるからである。
矛盾するようではあるが、まちが静かであるからこそできる「うちめぐり」。足助の文化を理解できる観光客に、静かな町並みを理解してもらう取り組みとして、「うちめぐり」があるのかもしれない。

・「観光地化」への危惧
幸いなことに、現在足助には所謂「土産屋」や外部資本による店はない。今の足助の良さは、そこに人々の生活が感じられる風景であり、地元の方々のおしゃべりする空間である。
地元の方々もこの魅力には十分気付いており、他の歴史的な町並みによく見られる観光地化を望んでいるわけではない。このスタンスを見守りたい。


今後の展開が本当に楽しみである。

香嵐渓の紅葉

足助の町並み

2010/11/07

ワインツーリズム in 山梨

11月6日 土

山梨・ワインツーリズムに参加する。
ワインツーリズムは、昨年度から山梨県内の民間事業者によって始められたイベントで、山梨県内のワイン産業やそれに関連する風景や文化などの理解促進を目的とし、主に観光客を対象にしたものである。
事前にインターネット予約をし、登録参加費として¥2500を支払っている。
今年は6日に甲府市内、7日に甲州市内で様々なイベントが展開されるという。

午後から本日のメインである、甲府市内のワインツーリズム会場へ足を運ぶ。
甲府市内の3つのワイナリーで、それぞれガイド付きのワイナリー見学会を開催している。
甲府駅近くのワイナリーで見学会に参加したが、ガイドの話術は見事なものであり、参加者を魅き付ける力を持っていた。
町の魅力を観光客に伝えるインタープリターには、知識だけでなくガイドする人の人間性やガイドとしての素質が重要であることを再認識する。

さて、ワインツーリズムというイベントだが、観光向けのイベントとして継続していくのなら、いくつか気になる点が散見されたので、ここに記そう。

・登録参加費¥2500の価値はどこにあるのか。
ワイナリーでのガイドツアーは別料金(¥300〜¥1000程度か)である。つまり、登録参加費はワイナリーでの様々なサービスを享受できるためのパスではないようである。また、ガイドツアーへの参加は、登録を行っていない場合でも可能である。

【追記(2010.11.14)】
ツアー登録は、参加者のみのサービスです。あと、ワイナリーでの催しや試飲等はツーリズム用の特別企画が用意されてます。
"おっくーさん"より、ご指摘頂きました。訂正致します。

パスを持っている人は、ワイナリー間を結ぶ臨時バスに乗り放題となるが、これくらいしか実質的なメリットはないようである。(なお、パスは事前に諸々のワインツーリズム用のガイドブックと共に自宅へ送付されるため、そういった資料を手に入れることができるのは1つのメリットかもしれない。)

・2500円という価格の設定
正直なところ、上記のような(多くはない)特典で2500円を払うのは高すぎると言わざるを得ない。
また、2日用のパスしか用意されておらず、1日パスの用意も検討して頂きたい。
2日用のパスのみの販売で、山梨県内での宿泊客の増加を期待しているのだろうか。

・なぜ、甲府市でワインなのか。
勝沼であれば、ブドウ畑とワイナリー工場、ワインという1つのストーリーを明確に感じられる空間があるので、ワインツーリズムを展開するその背景を観光客は理解しやすい。しかし、甲府は様々な歴史・文化的背景を持つ町であり、そのなかでワインに着目してもワインツーリズムを展開する背景を観光客に伝えることは難しいのではないか。
つまり、今回の甲府市内でのワインツーリズムに参加したところ、その「ワイン」というコンセプトが薄れてしまっているように感じたのだ。
仮に甲府市でワインツーリズムを積極的に進めていくとした場合、ワイン文化をより強くイベントで出していくことが必要となる。今回は、各ワイナリーでその文化発信は完結しており、残念なことである。市内の商店街や飲食店など、ワインを使ったメニューやワインバーの展開など、町全体でワイン文化を盛り上げる体制が望まれるのではないか。さらに、そういった飲食店でも、参加登録パスを見せることで何らかの特典を観光客が享受できるのであれば、ワインツーリズムというイベントによる町への効果も期待できるかもしれない。

その他にも、現地での情報発信の弱さなど目につく点はあった。
とはいえ、この企画自体はまだ2回目であり、行政の財政支援を受けずに民間のみの力でこれだけのイベントを立ち上げたことは非常に重要なことである。
そして、上記で述べた点は、今後のワインツーリズムの発展、ワイン文化の継承を願ってのこと。ワインをただ飲むだけでなく、ワインを使った料理教室やその他様々な体験メニュー等、さらなる充実を来年に期待したいところである。



2010/09/24

山口県祝島へ行く

瀬戸内の離島は魅力で溢れる。
その1つ1つが異なる魅力を持ち、観光客を楽しませるが、離島故に本土からの交通アクセスは悪いと言わざるを得ない。
これが逆に離島を観光客で溢れることなく、静かな環境を守って来たとも言えるだろう。

今回、私は山口県の祝島に降り立った。
このとき、瀬戸内海では香川や岡山の離島を中心に瀬戸内芸術祭が開催されていたが、そこではなく敢えて小さな離島を選んだのは、特殊なイベントで仕掛けられた島ではなく、島の日常を見たいと思ったからだ。

祝島は、山口県柳井市柳井港から船で1時間30分程度のところにある。1日に2便しかないため、東京から行くとなると朝一の飛行機で山口に向かっても、祝島に着くのは夕方である。従って、1泊することになる。
祝島には3軒ほど宿がある。もちろんじゃらんなどの大手のサイトで検索しても見つかることはない。
私は事前に偶然インターネット上で知った「くにひろ」に宿泊する。

祝い島の港に着くと、ご主人が港まで迎えに来てくれた。
宿までの間、見慣れない景色が目に映る。
「昔は全ての家がこのような練り壁を持っていたが、最近はお金がかかることでコンクリートの壁になってしまったところも増えてきた」
とご主人が説明する。
この独特な景観こそが今回祝島を訪れた最大の理由である。

ここ祝島は、瀬戸内海でありながらも外海にも面する位置にあり、強い風が吹き付ける。その波風に耐えるために祝島の家々では昔から石を漆喰で固めた練り壁で家を囲い、守ってきたのだ。

港の周辺に集落は分布し、幅2mもない狭い路地がそのなかを迷路や網の目のように張っている。
夕方になると、どこからか人が集まりおしゃべりを楽しむ。道ばたに座り込み、世間話を楽しむ。昼間は暑さから逃れていた猫たちも一斉に町や港に現れる。

この店には飲食店がない。小さな商店も数軒しかなく18時には閉店する。宿は素泊まりであった。
つまり、夕食の調達には非常に苦労した。しかたなく、商店でパンとお菓子を買い、それを夕食代わりにした。
こんな苦労も私にとっては新鮮なものである。いつでも何でも買えるコンビニに慣れていると、こんな体験も楽しい。

翌朝は自転車を借りて島を1周する。
海に面した集落の裏は全て山になっており、麓の僅かなスペースでは畑を耕し、豚を飼育し、山はミカン畑や段々畑を開拓し、果実や稲作を営むのがこの島の特徴のようだ。

途中、地元の警察の方とお話をする。
「山の裏にある段々畑は祝島に来たら必ず見なければダメだよ」

そう教えられた私は、船の時間を気にしながらも急いで段々畑に向かう。集落から一番離れた山にある段々畑に至るまでは急な坂の連続。常に見える瀬戸内海の雄大な景色と、眼下に広がるミカン畑を楽しみながら歩く。途中、ミカン畑で仕事をしている方とお話をしながら到着する。
集落に住む親子2代で築き上げたという3段の段々畑。多くの石を運んだその努力には感服であった。


集落に戻り、お世話になった宿にお礼を言い、昼の便にて柳井へと向かう。
わずか1日の滞在であった人口500人程度の小さな島。だが、ここにはここにしかない魅力があった。

夕方の祝島

祝島の練り壁