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| Paris, 2012 |
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つい数年前の僕からすると信じられないくらい、最近はフィルムの写真に嵌っている。Leica MPを手に入れたことで、正確な露出の写真が撮れるようになったのが大きい。M3やM4時代のライカは露出計がなく、勘で絞りとシャッタースピードを設定しなければならず、何本ものフィルムで失敗を続けた。それでもライカで写真を撮りたくて、無理してM9-Pを手に入れたのだが、その後MPでフィルム写真の美しさを知ってしまい、今はすっかりとフィルム写真に嵌ってしまったという訳。
モノクロフィルムの場合、現像に出すと出来上がるまで1週間、その後自宅でフィルムをスキャンしてようやく写真を確認できるので、デジタルに比べると圧倒的なスピードの遅さである。出来上がりを待つという心のゆとりもフィルム写真で楽しみの一つだが、それより何より現像されたフィルムが手元に残る、という安心感こそフィルム写真の魅力ではないか、と最近思うようになった。
デジカメの写真はファイルとしてパソコンの中に保存され、プリントすれば「モノ」として手元に残る(とはいえ、プリントまでする人は多くはないだろう。そして撮った写真を全てプリントする人はいまい)。一方、フィルムはそれが手元に残り、36枚の撮った写真が一覧できるようになっている。失敗したカットも自分の好みのカットも全て。36枚を振り返ると撮影した時の思い出がまじまじと蘇ってくるのだ。
手元にモノがあるという安心感。これはデジタル時代であっても決して失われることのない感覚なのではないか。
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